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がんを克服・生還された
元患者さんの体験記です。

ガンが消えた

神崎勝彦さん

病院と縁を切ったり切られたり

6年前に左の下腹部におできができ、大学病院でメラノーマと言われました。医学辞典には、メラノーマはヒトに発生する腫瘍のなかでもっとも悪質で、死亡率が高く、予後もきわめて悪いとありました。担当医に、何もしなければ1年以内の命だと言われ、死ぬことも覚悟して、言われるままガン患部を拡大手術で30センチほど取り、転移があるということで両足そ頚部のリンパ節の郭清手術もやりました。その後、予防ということで抗ガン剤治療を6クール行いました。退院してからも予防的に長期の抗ガン剤治療をほのめかされたり、食生活などは今までどおりよいと言われたりして、不信感が募ってその病院と縁を切りました。

入院中、このまま死んでしまうのか、おれが死んだら妻や子供はどうなるのか、抗ガン剤治療で本当にガンは治るのか、ほかにガンを治す方法はないものかと、毎日自問自答を繰り返し、ガンに関する本を手当たりしだい読みました。多くの本を読むうちに「ガン」=「死」ではない、やるべきことをしっかりやれば助かる場合もあるということを知り、いずみの会や中山武さんのこともそのときに知りました。

ガンになってよかったこともあります。朝、体のどこにも痛みがなくふつうに目が覚めるとか、一人でトイレに行って用を足とか、そんなことがとてもうれしいのです。

どうやってガンを治すか真剣に考えたとき、頭に浮かんだのはいずみの会です。末期ガンも含めて会員の生存率95%というのはとても信じられない数字です。この会に入会したら生きれるかもしれないと思って入会させてもらいました。それが5年前のことです。個別相談のときに、故中山会長から「神崎さんは明るいから大丈夫、元気になります」と言ってもらい、これで生きられると心の底から喜んだのを覚えています。また、ガンを治した先輩たちの話を聞くたびに、ガンに対する恐怖心がだんだん薄らいでいきました。

4年前に声帯の近くに二つ甲状腺ガンが見つかりました。担当医から手術を勧められましたが、手術や抗ガン剤治療では本当の意味では治らないと学習していた私は手術を拒み続け、今度は病院のほうから縁を切られました。

ホノルルマラソンを走り切る

そのころ、余命半年と言われた杉浦貴之さんが主催する「がんサバイバーホノルルマラソンツアー」のチラシを手にし、「走れるほどに元気になったのではなく、走ったから元気になった」の言葉にくぎづけになりました。単純な私は、これは本物だ、よし、おれも走って元気になろうと思い申し込みをしました。

実はその1年ほど前に左ひざの半月板を痛め、無理をすると人工関節になると医者に言われていました。また、そ頚部リンパ節の郭清手術のため、浮腫がひどくて長くは歩けない状態でした。でも決めた以上泣き言を言っても仕方ありません。1日1分走ることから始め、少しずつ延ばしていって、12月には42キロ走れるという計画を立てましたが、現実は甘くありません。12月になっても走って10キロ、歩けば20キロが精いっぱいでした。

ついに2011年12月がやってきました。心細さと不安いっぱいでホノルル空港に到着。当日、スタート地点で、生きてこの地に立っていることが夢でないということを確認するために、何度も両手でほっぺをたたきました。午前5時、真っ暗ななかに花火が何発もあがりとても感動的でした。気分が高まったそのときにスタート。一緒に行った仲間や沿道の人たちのたくさんの応援に元気をもらって何とか走り続け、ゴールテープが見えたときは嬉しくて嬉しくて自然と笑顔になっていました。最初の目標「笑顔でスタート、笑顔でゴール」を達成することができたのです。

そのとき大事なことを学びました。それは何でもやってみないとわからないということと。無理だ、限界だなどということは自分で勝手に決めていたことでした。

昨年の検査で、メラノーマの再発や転移はまったくなく、甲状腺ガンも一つなくなっていました。現在は元気に走れることに感謝しながら、「走ったら本当に元気になった。そしていつの間にかガンが消えてしまった」を目指して走っています。

質問と回答

【Q】ガンが見つかったときお幾つでしたか。
【A】56歳でした。

【Q】半月板の状態はその後どうですか。心臓はまったく大丈夫でしょうか。
【A】半月板は痛める以前よりもよくなった感じがします。心臓も全然大丈夫です。競争ではなく、ガンを治すために走っているんだと思ってゆったり走っています。

【Q】ガンになる前のどのような生活がガンの原因になったと思いますか。
【A】サラリーマンで、会社で言いたいことをがまんしていたのがストレスになったのと、長年水代わりに冷たい牛乳を何リットルも飲み続けたことが悪かったと思います。

【Q】甲状腺ガンが1個消えるまでにかかった期間は?
【A】2年以内に消えました。ですから今年中にもう一つも消えると計算しています。

【Q】甲状腺ガンの種類は何ですか。
【A】声帯の近くに1.5センチの腫瘍があると言われました。

【Q】病院の治療から離れようと決めたとき、ご家族にすぐ賛成してもらえましたか。
【A】妻も娘も看護師で西洋医学オンリーなので、いまだに家族と意見が対立しています。

【Q】抗ガン剤の副作用を教えてください。
【A】食欲がまったくなくなりました。

【Q】リンパ浮腫は走るようになってどれぐらいでなくなりましたか。
【A】走り終わったらすぐに壁に両足を上げて浮腫が自然に落ちるのを待つということを1年近く続けるうちに少しずつ軽くなっていき、最近はまったくなくなりました。

【Q】体重の変化はありますか。食生活はどんな感じですか。
【A】今は9割ぐらいの玄米菜食ということで、玄米菜食を徹底していたときより6キロぐらい増えています。

【Q】仕事はどうされていたのですか。
【A】ガンになってから5年働き、61歳になったときに、できるうちにやりたいことをやろうと思って、家族に相談して辞めました。今は自分の好きなことをやっています。

【Q】走る以外に何か変えたことは?
【A】まずタバコをやめました。酒は、飲みすぎてトライアスロンを途中棄権したときに杉浦貴之さんに注意されてから1滴も飲んでいません。

【Q】抗ガン剤を拒否した後、医師との関係は?
【A】地元の病院とは縁を切って、今は岡山の病院で血液だけ定期的に検査しています。

【Q】走ってデトックスするといいという井上アトム氏の記事を読んだことがありますが、どれぐらい汗をかいたらデトックスできるとお考えですか。
【A】デトックスかどうかはわかりませんが、毎日、朝晩の入浴、そして走ること、あとは週に4日ぐらい卓球をやってと、最低でも1日3~4回は汗をかいています。

【Q】痛みがあるときの対処方法は?
【A】風呂に入って体を温めると血管が広がって痛みが和らぐと本にあったので、私も体調が悪かったり痛みが出ると風呂へ入って体を温めています。

【Q】ガンの再発の恐怖などをどのように克服されましたか。
【A】いろんなレースで走るのに忙しく、この1~2年はガンだということを忘れています。

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