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がんを克服・生還された
元患者さんの体験記です。

突然の胃がんに…

小松真紀さん(いずみの会患者会員第1号)

患者の会の立ち上げ

24年前の6月に胃を5分の4とり、抗ガン剤治療を6回受けました。まだ今ほど情報もなく、言われるとおりに手術、抗がん剤となったわけです。当時は告知が問題になっていた時代ですが「告知でショックを受けられても、人間は病気に立ち向かう力を持っているから、僕はそれを信頼して伝えることにしている」とおっしゃる先生で信頼することができました。また、病室の皆さんはガンでも明るくて、私だけではないんだと何となく安心でき、友達と話すように家族のことを話したりしてけっこうにぎやかに過ごせたのです。もう一つ幸いなことは、抗ガン剤で目に見える副作用がなかったこともあって、6回の抗ガン剤治療も、本をたくさん持って、行ってくるねという感じ入院することができました。

ところが、退院してしまうと患者さんと接する機会が全然ない。治療のついでに病室に寄っても、元気になった方は退院してしまっているし、新聞の死亡欄やニュースから「ガン」という字がまっさきに目や耳に飛び込んでくるし、ドラマもヒロインが亡くなるというとガンだったりする。それでなくてももうだめかもとマイナス思考になりがちなところに、そういう情報が追い打ちをかけるのです。これではいけない、元気なガン患者さんに会いたいという切実な思いから、夫も協力してくれて、最初は胃がんの患者の会ということで立ち上げのメンバーになったのです。『中日新聞』で会員さんを募ったわけですが、中山会長をはじめパワフルで元気な方が多くて、いろんな方と交流することができて本当によかったなと思っています。

楽しんで生きる

そのころは触って何かあると「しこりじゃないか」とか、ちょっとしたことで不安が募るわけです。それで、1行日記みたいなかたちで気になることをメモして、とりあえず10日ぐらいはそのことは気にしないでおこうみたいなことをやりました。また、少しでもガンのことを考えない時間をということで、コメディや落語といった笑えるもの、楽しいものをビデオで見たり、旅行にもよく出かけました。玄米菜食やゲルマニウム温浴とかヨガとかもいろいろやったのですが、あまり突き詰めない性格で、そういう療法はどれも自然にあいまいになっていったという感じです。

翌年の9月に仕事に復帰しましたが、職場の配慮で夜勤がなくなったので、実家の母と同じ合唱団に入り、練習の後は実家で羽根を伸ばしたりしました。その後チェロも習いました。退職した今はボランティアをしたり孫の世話を頼まれたり、自分が必要とされているな、家族に大事にされているなという思いが前向きな気持ちを後押ししてくれます。

そうはいっても人間は弱いので、こういう会に出てきて話をしたりしながら、いろんなことを前向きにやっていきたいと思っています。一緒に陽気にやっていきましょう。

質問と回答

【Q】ステロイドとガンは何か関係がありますか。
【A】ガンとは別の持病があって今でもステロイドを服用していますが、先生に「それも病気に影響したかもしれない」とは言われました。

【Q】小松さんの「長生き」のイメージは?
【A】日野原先生のようにはいかないと思いますが、父母の年を越えて90歳ぐらいまで元気で生きられたら長生きかなという感じです。

【Q】船瀬俊介さんの『抗ガン剤で殺される』という本がありますが、抗ガン剤を受けられて、体力の低下とか免疫力低下とかはどうでしたか。
【A】副作用の説明を受けて構えてはいたのですが、私は目に見える不調は全然なかったので、個人差があるのでしょうね。

【Q】玄米菜食はどのぐらい続けられて、その効果の実感はどうでしたか。
【A】いずみの会に足を運んでいたころは玄米食だったと思いますが、そのころもそんなに厳密ではなくて、ちょっとずつお肉や魚を食べたり、白米も食べたりして大丈夫だったなという感じで、いつの間にかふつうの食事になっていたという感じです。

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